ぐずつく空模様の本日、かねてより期待していた「スピードレーサー」を観てきました。
原作の「マッハGoGoGo」にはさほどの思い入れもない私ですが(平成になってからリメイクされたやつは結構好きでした)、メガホンをとったのがかのウォシャウスキー兄弟という事で俄然見る気になったというわけで。前評判では、「CGパート以上に、随所に入る格闘シーンが面白い」という意見を目にしていたので、これは「マトリックス」の時と同じような味わいがあるかな・・・と思った次第。

結論から言いますと、実によく出来ていたし面白かった。“家族の絆”というものをテーマに据えた物語も、オーソドックスながら感情移入を誘っていたし、肝であるバトル・レースシーンも大迫力。唯一の欠点をあげるとするならば――それは、映像が激しく切り替わるため、極めて3D酔いしやすいという事です。私はもう最初のレースシーンで気分が悪くなってしまい、中盤までは画面へ集中出来なかったというのが本音。かの「クローバーフィールド」のそれなんて目じゃないと思う。フラッシュも多用されていたし、光の刺激に弱い人は体調を悪くする可能性大ですね。これから観にいこうという人はご注意を。
それでは、以下――
ネタバレを含む映画の感想です。
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まず驚いたのは、最初のレースからマッハ号がナンバー6の状態で出てきたという事です。アニメでおなじみのナンバー5のマッハ号は、主人公・レーサー一家のプライベート用の車であり、レースに出てくるのは、今風にアレンジされたデザインのフルカウル型。私ゃ、てっきり最初はマッハ5で出場し、なんらかの妨害工作を受けて大破。最終的な決勝レースでマッハ6に乗り換える…という“アニメ的お約束”が展開されるものとばかり思っていたので、これは本当に意外でした。
で、そのマッハ号にしても、搭載された7つのメカニズムはあまり生かされることはなく――特にギズモ号射出ギミックは一度も使われませんでした――出てきたのは中盤戦であるカーサ・クリスト・ロードラリーでのみ。お馴染みのエアロジャッキはよく使われましたが、劇中設定においては全ての車に搭載されているごくごく普遍的な装備なのだとか。
つまり――メカの性能に頼って勝つというのではなく、最終的な勝敗は搭乗者の資質(根性とでもいうべきか?)にかかっているのだという暗喩なのでしょう。そういうの、私は結構好きですね。
ただ、肝心のバトル・レース自体が面白かったかというと決してそんな事はなく、どう考えても物理的に無理な形状のコースをCGで描かれた車がビュンビュン走っているだけであり、あとは互いにぶつけ合ってクルクル回っているのが大半。基本的にこの繰り返しだったので、目は疲れるし、残念ながらこの映画の見どころであるとは言えないと思いました。設定は良かったんだけどねぇ。
そんなわけなので、観客的に一番楽しめるは上記のカーサ・クリスト・ロードラリーぐらいじゃないかと思います。日系人レーサー・テジョ、謎の覆面レーサーXらとの協力戦というのも燃えるし、砂漠や山岳地帯という過酷な自然の中を走るというのも生きており、多分一番レースやってるなという感じが出ていたのではないかと(他のサーキットコースが異常すぎるだけなんだけどね)。
その合間合間に挿入される格闘シーンは爆笑必至の素晴らしさであり、何のために出てきたんだか分からない暗殺者(忍者?)を叩きのめすオヤジや、レースそっちのけで乱闘を始めるシーンなど、さすがはウォシャウスキー兄弟の映画だなと思いました。やっぱりああいう無駄に派手な演舞シーンがやりたいのだな〜と。私の近くに父子連れが座っていたのですが、この一連のシーンでは子供が大喜びでしたね。私も爆笑したかった。やっぱりエンターテイメントはこうでなくっちゃいけないぜ(笑。
各キャラクターの設定については、これはさほどの説明がなされていたわけではなかったのですが、それほどの混乱はせずにすみました。敵味方の構図もはっきりしていたし、むしろやられる専門の雑魚キャラをあまり表に出さなかったのは大正解。「マトリックス」の時は、単なる名無しのやられ役も、延々と画面に映り続けてアクションをするシーンが多々ありましたからね。そういうのが廃されたのは良かったと思います。
ただ、テジョ・トゴカーンについてはやや説明不足だったかなぁ。彼はトゴカーン・モーターズの御曹司という役柄なのにもかかわらず、初登場シーンはなんでかギャングにリンチされているという謎が。なぜ彼がそんな連中の下っ端レーサーになっていたのか、という部分が不明瞭だったのは、正直感想に困るところであります。主人公・スピードとチームを組んでからの絡みも少なかったのは残念でしたね。てっきりライバル的なキャラになるかと思ったのだけれど、普通に熱くて良い奴だったのは拍子抜けかも???
今回は吹き替え版を観たのですが、声についての違和感は皆無。主人公・スピードはKAT-TUNの赤西仁。その恋人トリクシーを上戸彩。レーサーXはベテランの小杉十郎太。そして劇中で登場する伝説の名レーサー、ベン・バーンズ役は、なんとオリジナル版で主人公・三船剛を演じた声優、森功至が担当という豪華さ。余談だが、テジョ・トゴカーンの吹き替えを務めた古澤徹のテロップが出たとき、「えっ、古谷徹!?」と読み違えてしまったのは私だけではないと思いたい(苦笑。
それにしても役者陣もアニメ版のイメージそのまんまで実に良かったなぁ(いや、私は元のアニメをあんまり知らない世代だからこんな事を書くのもおかしいんだけど)。特にオリジナル版における“三平”に該当するチンパンジー・チムチムの演技は凄すぎるだろうと。あれはどんだけ調教を繰り返したんだろうね? 下手するとそこらの脇役よりもギャラは高いのではなかろうか。そういう部分でも見どころは多い映画ではないかと。
というわけでして、良作なのは間違いない映画です。いろんな要素が詰め込んであって、私のようにカー・レースものに興味のない向きでも十二分に楽しめる作品ではないかと。劇場で購入したパンフレットも、700円というわりかし安価な値段の割に、読むところは非常に多くてお得な仕様で大満足。
惜しむらくは先述したとおり、3DCGの画面で思いっきり酔ってしまうという弊害が大きい事だな。普段ゲームなどで慣れている自分ですらこうなのだから、あまりCG映像にふれたことのない人にはかなりきついのではないかと。この辺の演出に関しては、観る人への負担をもう少し考えて作って欲しかったなとも思います。
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