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キミに会いたくて-DORAEMON THE FUTURE 2008-

■ドラえもん もうひとつの“緑の巨人伝”
 先週に録画した「新魔界大冒険」とあわせて視聴完了。まずはTVスペシャルの感想から。
 先に鑑賞した映画版「緑の巨人伝」が結構気に入ったので、今回放送されたTVオリジナルバージョンには期待していました。「ドラえもん」の通常放送を録画するなんて、十数年ぶりのことじゃなかろうか。内容は、映画のプロモーションを軸にして、キー坊をメインにすえた「恋をしたキー坊」、幼い頃のリーレ王女の冒険行「もうひとつの“緑の巨人伝”」、原作準拠の「ジキルハイド」の三本構成。映画の宣伝部分に関しては、かなりの深層部分まで見せてしまっており(クライマックスの大爆発シーンや、ラストの別れのシーンなど)これから観に行く子供達にはちょっと可哀相な作りだったかも。また、先週にTV放映された「新魔界大冒険」でも、番組のオープニングに「緑の巨人伝のOP映像」が使われたりと、映画の映像は惜しみなく出されている感じ。個人的にはあまり感心できない。

 このTVスペシャルのメインは、やはり「もうひとつの“緑の巨人伝”」だと思うのだが、残念ながらさほど面白いものではなかった。映画で描かれた以前の植物星が舞台となるため、必然的にのび太もドラえもんも出ることは出来ないわけで、代わりに用意されたのが「ノビテン」「ドラボテン」という名前のサボテン人間(外見や声はそのまんまのび太とドラ)。その二人が、、城を抜け出したリーレ王女と共に“緑の巨人”を探しに行くという短編だったのだが…いかんせん内容が適当すぎた。
 リーレの目的は映画のそれよりも明確であり、「幼い頃に死別してしまった父母に会いたい」という願いをかなえてもらうというもの。映画ではついに語られずじまいだったリーレの両親についてのエピソードが、ようやく見られるのかと思いきや、何があったのかというような部分は一切なし。最後に、崖から落ちてしまった一行が、木々の枝に受け止められて助かるという“奇跡シーン”の途中で、何の脈絡もなく父母の幻想が出てきて終了。とんだデウスエクスマキナだ…いや、これでは単なる子供騙しでしかない。当の子供達があれを観て「面白い」と思えたのかどうかは甚だ疑問である。ただ、ノビテンとドラボテンが劇中で歌っていた「サボテンブルース」がかなり笑えたので、その点は良かったのではないかと(笑。

 原作準拠の「ジキルハイド」はまぁまぁな出来であったが、それでも単なるスラップスティックコメディーでしかなかったのは残念である。「ドラえもんならではの楽しさ」というものが、少なくとも自分には感ぜられなかった。これはもう世代的なものによる拒絶反応だと思うので、自分がこれ以上批判を並べ立てても無意味であろう。



 と、どうしても酷評ぎみになってしまうのであるが、「新魔界大冒険」は文句なしに面白かった。自分はオリジナル版を未見なのであるが、これぐらいの出来であるならば、往年のドラ映画と肩を並べてもまったく問題ないのではないかと思った(それゆえ、自分の中で「緑の巨人伝」の評価は相対的に下がってしまったのだが)。
 とにかく、まず「怖さ」がある。導入部における、ガスを噴き出す暗黒巨星の無気味な威容。突然ふってくるドラえもんの石像。おまけに石像が夜中に動く。暗雲が立ち込め、台風が到来する…。徐々に平和だった日常が非日常に侵食されていく過程が見事であった。特に台風を盛り込んだ下りがなかなかのもので、現実に雷や台風がやって来るときに覚える「怖いのだけれど、なぜかワクワクしてしまう」という、あの子供心をくすぐってくれる絶妙な演出であったと思う。

 物語としての突っ込みどころはかなり多い。辻褄の合わない部分も少なくはないし、「もしもボックス」を使って生み出した世界の位置づけの曖昧さ、また元の世界と、そこを基点に存在している筈の22世紀世界(具体的にはドラミちゃんの存在)のパラドックスなど、かなり矛盾だらけであったが、「ドラえもん」でそういう事を指摘するのは野暮というものか。
 個人的には、元の世界に訪れる筈だった破滅(冒頭の暗黒巨星と地球の衝突)が、魔法世界における「魔界星の討伐」によって回避されるという構成がさすがだなと思った。が、その一方で、あの暗黒巨星に立ち向かうドラえもんたちの物語も観てみたかったな〜と、SFファンの血も騒ぐのであった。関係ないが、あの星の描写といい、終盤の“赤い宇宙での戦い”といい、なんだか「トップをねらえ2!」を連想してしまったのは私だけだろうか。

ani055.jpg

 残念だったのは、CMの回数の多さとその長さ。入れ方もかなり悪く、CMあけにはわざわざ直前のシーンを繰り返すなど、編集のまずさが目立っていた。そのくせメインタイトルやエンディングを省略してしまっているのだから始末におえない。大山のぶ代時代の「ドラえもん」ならば、ノーカットでエンディングまできちっと放映したんだけどなぁ…。これも時代の流れなのか。

 しかし、です。なんだかんだ言ってみてもやはり「ドラえもん」は素晴らしい。この年になって見返してみて気がつくことも多く、本当に全ての世代に向けてのメッセージが込められているのだなと思いました。自分も小さい頃にはああいう夢一杯の世界にいたのだと思うと、ちょっと憂鬱な気分になりますが、その余韻に浸っているとなんだか癒されるのもまた事実。色々と変わってしまったこの作品に不満がないわけではないけれど、これからも末永く応援していきたいものです。

・映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い スペシャル版
・映画ドラえもん のび太の魔界大冒険(大山のぶ代版)
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